イノベーターインタビュー 藤沢 烈 さん
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    藤沢 烈 (ふじさわ れつ) さん

    一般社団法人 RCF復興支援チーム 代表理事

    2003年にマッキンゼー・アンド・カンパニーを経て独立し、NPO・社会事業などに特化したコンサルティング会社を経営。
    そして、東日本大震災後にRCF復興支援チームを設立し、情報分析や事業創造に取り組んでいます。現在、Google社が取り組んでいる復興支援の一つが「イノベーション東北」。被災地の事業者と、多様なスキルを持った世界中のプロフェッショナルとの出会いの創出を、クラウドマッチングで実現しています。

『ビジネス手法を通じて社会をデザインしたい』。そんな想いを持ち、経営コンサルタントの世界に飛びこんだ藤沢さん。現在ではその経験を活かしてNPO、行政、企業、各種団体の連携を促進していく、コーディネート事業を行っています。多くのステークホルダーと繋がりのある藤沢さんには、今までの活動の中で見えてきたことや、東北の目指している未来、そして今、東北でしか学べないことを伺いました。

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住宅やインフラの復旧が進み、産業の活性化、コミュニティの再構築が東北の課題となっています。解決のためには、カネやモノだけではなく、プロフェッショナルの知恵や経験が必要です。そうしたプロフェッショナルを東北につなげているのが、Googleが取り組んでいる「イノベーション東北」です。
「イノベーション東北」は、一過性ではなく、継続的な支援を可能にする取組として、注目されています。これは、東北の中小事業者と全国の民間企業、プロボノで活動する個人をマッチングするプラットフォーム事業で、東北事業者の抱える多種多様な課題の解決を手助けしています。 また、Googleをはじめ、多くの民間企業が、東北の復興支援に力を入れています。
それは、”東北”が社会の変わる起点になっていて、さまざまなチャレンジができる場所と捉えられているからです。

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『私たちが目指す復興とは、震災以前の“東京中心”の状態に戻すことではありません』という藤沢さん。それでは、”東京中心”とはどういうことで、今、どんな変化が起きているのでしょうか?
例として、世界一と言われている三陸沿岸の漁業の現状をあげたいと思います。実は、三陸で捕れた魚は良いモノから順に東京の築地市場に卸されており、現地では東京で売れにくい魚が消費されています。
このような下請け構造が“東京中心”で、これは東北の漁業のみならず他の地域、産業でも同じです。それが今、震災を機にこうした”東京中心”の状態に疑問を抱いた東北の事業者が続々と立ちあがっています。その事業者の一つが福島にあるフランス料理のお店です。
このお店では福島の食材を直接仕入れ、こだわりの料理を提供しています。その実力は、フランス政府にも招かれるほどですが、お客さまは1日1組限定としています。客単価は2万円以上ですが、それでも多くのお客さまが訪れており、7割は同じ福島の方々との事でした。これは東京に出さなくても、価値を感じてくれる人が福島にも十分いるということです。
このお店は、福島で新たな価値をつくり、それによって県内はもちろん、県外の人々からも『福島に行ってぜひ食べてみたい!』と思われています。このように、”新しい”付加価値を産み出すことが、”東京中心”ではない復興に繋がるのです。
産業だけでなく、人材についても考え方は同じです。優秀な人が”東京から東北へ”このように逆転させてもいいと思っています。東京でしか学べないことがあるように、今の東北でしか学べないこともあるからです。

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─では、東北でしか、学ぶことができない力とはなんでしょうか?
“チーム形成力”です。これは単なるコミュニケーション力ではありません。現在の東北では、多くの人がチームをつくって連携しています。関係者の数や属性は多岐にわたるため、『このまちをどうしていきたいか?』という大きなビジョンを描いて、チームをまとめていくリーダーシップが求められています。
この力は東京ではなく、東北でこそ深く身につけることができると思っています。
例えば、釜石には「NEXT KAMAISHI」というまちづくり団体があります。水産加工事業者や農家、市役所で働く若者たちがメンバーです。かれらは震災を目の当たりにし、強い想いを持って活動しているうちに、ビジョンメイキングできる力を持つようになり、現在では釜石のまちづくりを引っ張る存在になりました。
震災4年目になり、ビジョンの実現に向けて、新たな人材を受け入れる東北の事業者も増えつつあります。想いを持つメンバーが点在している東北の環境だからこそ、チーム形成力を学べるといえるのです。
─今、藤沢さんはコンサルタント時代の時よりもより高いモチベーションで事業に取り組んでいるといいます。
日本はこれからもどんどん人口が減っていき、なかなか希望が見いだせない産業が多くなるかもしれません。そのような中でソーシャルの分野や、東北に関わることは、大きな責任もありますが、希望を作り上げていく取組だと考えています。
東北は今、希望を持って取り組んでいる人が多くいます。『東北をはじめ、それぞれの地域、人、事業者が価値を持ち、輝いているカラフルな日本にしていきたい』藤沢さんは、最後にそう語ってくれました。

RCF復興支援チーム

 

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