株式会社オノデラコーポレーション

  • Profile

    小野寺 靖忠 (おのでら やすただ)さん

    株式会社オノデラコーポレーション 専務取締役

    1975年生まれ、気仙沼市出身。高校時代はラグビーで汗を流し、卒業後はアメリカへ留学。ミネソタ大学で国際関係学を専攻する。その後も国籍を超えたメンバーが集まって、ヨーロッパを中心に活動する様々なビジネスプロジェクトに参加。27歳の時に帰郷し、オノデラコーポレーションに入社した。海外で過ごしたコーヒーのある生活が忘れられず、「ないものはつくればいい」と、2005年コーヒー事業部を立上げた。震災による店舗全壊も乗り越え、地域内外から愛されるコーヒーショップ『アンカーコーヒー』を展開している。

    気仙沼市の魅力

    気仙沼は、宮城県の北東部に位置し、太平洋に面したまち。日本有数の漁港、気仙沼港があります。遠洋漁業の…

onodera_01

気仙沼駅から車でおよそ8分程度。大川を渡る橋の袂に、モダンでおしゃれな外観の建物がある。ここは、オープンしたばかりのコーヒーショップ『アンカーコーヒー マザーポート店』。震災によって市内にあった店舗は全壊という被害にあったが、あれから4年、ついに焙煎工房を併設する本店が再建した。オノデラコーポレーションは、もともと水産物の輸出入を営んでいたが、10年前にコーヒー事業部を立ち上げ、いまや気仙沼市内に2店舗、市外に5店舗を展開。地域の人たちにはもちろん、このまちに訪れるすべての人に、温かい時間と癒しの空間を提供している。気仙沼を代表する若き経営者のお一人で、この事業を立ち上げた小野寺靖忠専務にお会いするため、できたばかりの『アンカーコーヒー マザーポート店』を訪れた。

onodera_02

海外での留学・就職を経て、生まれ育った気仙沼に帰ってきた小野寺専務には、どうしても耐え難いものがあった。このまちには、自分が海外で楽しんできたようなコーヒーショップがない。朝起きて新聞を読んだり、ひと休みに立ち寄って本を読んだり。アメリカでは友達としゃべるのも、デートをするのも、生活のほとんどがコーヒーショップとともにあった。ないものはつくればいい、小野寺専務に迷いはなかった。オノデラコーポレーションに入社後、イワシの買い付けで訪れたアメリカで、仕事の合間にシアトルコーヒーについて研究する日々を送った。
「商売は、自分の好きなものをやらないと頑張れないじゃないですか。自分は何が好きなのか、と考えたら、アメリカで出会い慣れ親しんだコーヒーショップだったんです。アメリカでも、90年代にコーヒーが一気に広がって生活になくてはならない文化になった。きっと日本でもそうなるはずだと思いました」
当時はまだ、日本でエスプレッソが定着していなかった時代。東京では“カフェラテ”が広まりつつあったものの、気仙沼ではまったくと言っていいほど知られていなかった。気仙沼でおいしいカフェラテが飲みたい、小野寺専務はその一心で事業化を進め、帰国後まもない2005年秋『アンカーコーヒー』1店舗目をオープンさせたのである。

onodera_03

アンカーとは錨(いかり)のこと。船を港に停泊させるために海底に降ろす、重りのことである。港町気仙沼にぴったりの、この店舗名やロゴマークを考案したのも、小野寺専務ご自身だという。
「それまでは海外で暮らしていた時期も長かったので、ここでしっかり腰を下ろそうと。錨をおろして、地元である気仙沼の暮らしを良くしていこう、という決意の意味もありました」
アンカーコーヒーのファンはあっという間に増え、1店舗目のオープンから毎年着実に店舗数を増やしていった。気仙沼市外の店舗は『フルセイルコーヒー』(満帆、帆を張って進んでいく、の意味)という名前でフランチャイズ展開もしている。そんな中に起きたのが2011年の震災だった。津波によって本店を含む市内2店舗は全壊。焙煎工房や製菓工場も流された。それでも震災の影響の少なかった市外の店舗はすぐに営業を開始し、その年の12月には気仙沼市内に仮設店舗をオープンさせた。そして2015年、気仙沼市内にアンカーコーヒーの新しいフラッグシップとなる本店が再建。焙煎工房も復活し、新たな一歩を踏み出している。お店の名前は『アンカーコーヒー マザーポート店』。お客さまがここで錨(いかり)をおろしてエネルギーを補給したり、新しい出発の起点になったりする“母港”のような存在になろうという思いが込められている。
「革靴から長靴まで、軽トラから高級車まで。すべての方にとって、私たちのお店を母港のように利用していただくことを目指しています。まだ至らない部分もありますが、一緒に働くみんなと作り上げていくつもりです」
このマザーポート店の開店からほどなくして、市外に『マザーポートコーヒー』というネーミングのコーヒーショップを新規出店した。アンカーコーヒーは新しいブランドネームで、次の海へと出航する。

onodera_04

いいお店とはどんなお店だろうか。小野寺専務に尋ねると、その答えははっきりしていた。
「“いい人がいるお店が、いいお店“ですよ。サービス業は、人間性が一番求められる職業だと思うんです。ヨーロッパでは、バリスタとして地位が認められていますが、日本ではまだまだ。だからこそ、ステータスも上げていきたいですね。コーヒーそのものの品質の高さは当然ですが、私たちはコーヒーを売っているんじゃない。ライフスタイルを提供しているんだという意識を常に持っています。お店でどんな風に時間を過ごしてもらうのか、どんな空間にするのかは非常に重要です」
小野寺専務のモチベーションの原点になったカフェラテの味にはこだわりがある。アルバイトであっても、社内で独自に設けたバリスタテストを通らなければお客さまに出すことが許されない。さらに練習用の牛乳は個人負担なのだという。
「厳しいと思われてしまうかもしれませんが、その方が練習する1杯1杯を大切にすることができるようになるんです。テストに受からないということは、教えている先輩にも責任があるよ、と話します。会社は、働く人がすべてです。一緒に働く人が、新しい人を採用して、共育する。お店も、働き方も、キャリアも、一緒に作り上げていきたいんです」
お客さまにとっても働く人にとっても居心地がいいお店であることが、小野寺専務のお店づくりには欠かせない。新卒で入社し、今はアンカーコーヒーで店舗スタッフとして接客をしながら、グッズ制作や広告物全般もまかされている畠山さんにも話を聞いた。大学4年生になった時は、ちょうど震災直後。当時は仙台に住んでいたが、このまま普通に就職活動するより、地元に帰って気仙沼の力になれることをしたい、と考えるようになったという。
「こんな物があったらいいな、こんな広告をつくったら売れるんじゃないかな、と思ったものをカタチにしています。今年はアンカーコーヒーが10周年ということもあり、記念のロゴも自分で考えて、タンブラーを制作しました。仕事は与えられるものではなく、自分で作るもの。何もやらなければ、何もないまま終わってしまうんです。初めての事ばかりで大変な面も多いですが、お客さんの反応を直接見ることができて、楽しいですよ」

onodera_05

マザーポート店には、老若男女さまざまなお客さまが続々と来店する。コーヒーショップには珍しく、広い店内にキッズスペースも設けられており、小さなお子様連れの方にもゆったり居心地がいいと評判だ。小野寺専務は、これからのアンカーコーヒーをどうしていきたいと考えているのだろうか。
「企業として成長するとか、ゴールに向かって全員で突き進むとか、そういうことはあんまり重視していないんです。ここで働く人が、幸せかどうかを大切にしたいですね。気仙沼が楽しいまちになるように、まずは自分たちが楽しまないといけないと思うんです。会社は、夢を叶える場所。個人でできないことも、会社という器を使えば実現できることがあります。経営を学ぶこともできますし、デザインや写真のスキルを磨きたい人には販促や広告物を、WEBの勉強をしたい人にはネットショップをまかせたい。新しいことを1からつくってもいいと思っています。やりたいことがある人に、コーヒーショップは最適!まだないという人にも、夢が見つかる会社でありたいですね」
自身の夢を実現させ、コーヒー事業を立ち上げた小野寺専務だからこそ、やりたいことをかなえてあげたいという言葉には熱がこもる。今日も、お店には幸せな気持ちになるようなコーヒーの香りが漂っている。

会社概要

社名 株式会社オノデラコーポレーション
本社 気仙沼市田中前4丁目2番1号2階
事業内容 ●コーヒーショップの経営・運営 ●コーヒー豆の輸入 ●オリジナルブレンド、タンブラーといった商品の制作・販売 ●船舶漁労機械及び水産物の輸出入 
設立 1997年(平成9年9月5日)
ホームページ http://www.anchor2fullsail.co.jp/
  • facebook
  • twitter
ページトップへ